ピアニストからの手紙トップ 【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-5 「無邪気」

【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-5 「無邪気」

2021.04.27

ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-5
「無邪気」


[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]


【概要】

音階練習のための楽曲です。多少の指の配置換えはあるものの、仕組みがわかりやすく比較的規則性があるため、初めて間もない段階でも取り組みやすい楽曲となっています。

 

【対象レベル】

・右手親指のくぐらせ、飛び越えなど、音階を弾く時の滑らかなポジション移動を習得している。

・5本の指をそれぞれ独立させた上でレガート奏法ができている。

 

【参考演奏動画】

演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)

 

【練習・指導のポイント】

1〜4小節目:

1小節目の右手の音階は、拍毎に隣接した鍵盤を1-4で弾くため手を縮めます。音符読みが未だ苦手な学習者はそこだけに着目すれば、後はポジション内においては指番号を見ることで楽に譜読みができるでしょう。

拍子感はなるべく三拍子の強—弱—弱になるように。拍子ごとに手首を振って拍をとっているならば良くない癖がつくので止めましょう。手首は固定かつ力は解放させ、直線上に手が移動するような動きをもってレガートで演奏します。

3小節目では親指のくぐらせが出てくるので、くぐらせが発生する直前の指番号(ここでは3)をしっかり認識することでスムーズなポジションの移動が行えます。

 

5〜8小節目:

臨時記号が出てきます。5小節目は指遣いがイレギュラーとなっています。なぜそのような指番号になるのか理由を知ると、後々の曲にも活かせます。(親指で黒鍵を弾くことを避けるため)

 

10〜13小節目:

同音の鍵盤を打鍵しながら、指番号を変えることによって位置移動を行える箇所です。指番号をしっかり認識しながら仕組みを知れば、左手が単純な伴奏ですのですぐにでも両手奏を行える部分です。

12、13小節目は直前の右手のパッセージが一オクターブ上にあるだけなので、新しく音符を読もうとせず、同じ動作を一オクターブ上で行うようにすると譜読みにかかる時間を削減することができます。

スタッカートとレガートの位置にも気を付けましょう。

 

14〜17小節目:

下行する音階、上行する音階、同音打鍵を行いながら位置移動をしていく部分と、今までの復習のような箇所です。それ以前がきちんとできていれば、大して難しいパッセージではありません。

左手の和音は手の移動を伴うので、右手を弾いている間左手は休符をただじっと待つのではなく、休符を利用して予め次の動作位置に手を移動しておくことでスムーズな演奏が可能となります。

 

 

 


【執筆者】

塩川正和

パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。
YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ



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