ピアニストからの手紙トップ 【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-22「舟歌」

【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-22「舟歌」

2021.07.06

ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-22「舟歌」


[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]


【概要】

複合拍子に特徴付けられる「舟歌」という形式のジャンルでは、独特なリズム感を感じることが重要です。舟が小波の上で穏やかに揺れている様相を表現しましょう。

 

【対象レベル】

・8分の6拍子についての基礎的な知識がある。

・細かな指のポジション移動、くぐらせや飛び越えなど熟知している。

・数の多い調号、臨時記号などを瞬時に音符に適応させることができる。

 

【参考演奏動画】

演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)

 

【練習・指導のポイント】

1〜12小節目:

舟歌のリズムは若干のクセというものがあり、拍頭(1つ目と4つ目の8部音符)を少し重めにする弾き方を行います。

また、波が不規則であるように、拍頭にかける重さも和声、音域、フレーズなどに応じて臨機応変に調節すると、より舟歌らしい演奏となります。

感覚の領域となるので、よくわからなければ実際にどこか近場の湖でボートに乗って揺れを体感してみると良いインスピレーションとなるでしょう。

 

12小節目以降:

左手が一貫して規則的な拍打ちとなります。この際決して8分休符を短く取ってはいけません。

また、前述のように拍頭を重めにとりますが、フレーズの山、和声の移り変わりなどで少し揺れの大きさを変える必要があります。特にⅠ – Ⅴ – ⅠとⅠ – Ⅴ – Ⅵ7 (c: Ⅳ7) のコントラストの差は大きいものにすると表現力が増します。

dim7は不安を感じさせる和音なので、やや強い波が舟を揺らす等イメージ力を持って音楽をつくりましょう。

 

 

 

 


【執筆者】

塩川正和

パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。
YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ



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