ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-練習時間について(2)

ピアノに関するQ&A-練習時間について(2)

2021.01.04

Q:子どもが長い時間練習してくれません。ピアノは好きだと言ってるのに、行動が矛盾してる気がするのですが・・・。

 

A:(講師:塩川)まず考えて頂きたいのは、ある一つの曲をAは合計で10時間練習し、Bは合計で100時間練習し、どちらも同じくらい質の高い演奏ができたと仮定した場合、どっちが最良の練習をしたか、ということです。当然Aのほうが質の良い練習をしたことでしょう。

上達を目標にする際は練習時間を一方的に少なくすることが良いとは思いませんが、効率の良さは十分に考慮すべきです。人間の集中力には限界があるし、そもそも時間は24時間しかありません。過度な練習は腕を痛める可能性もあります。
ピアノさえ弾いておけばいいという人生は当然なく、睡眠や食事、子どもであれば学業、大人であれば仕事や生活など、日々様々な行動をしながらピアノの時間を抽出しなければならないことを考えると、なるべく必要以上の練習は避けた方がよいでしょう。

お子さんが長時間の練習をしてくれないという問題を考えるにあたって、まずそのことを認識したほうがよいと思います。例えばプロは本番の前に1日5時間以上の練習を行うのは当然とされてますが、それにはそうする理由があるからです。
演奏活動をしていると常に3時間くらいのプログラムを持ち続けてることがよくあります。となると、一回通すだけで3時間、二回通せば6時間です。とてもじゃないですが、一曲一曲に悠長に長い時間をかけている場合ではありません。

もしお子さんが将来音楽の道に進むのならば、「効率の良い練習」というのは避けて通れない考え方です。なるべく無理のないよう支えてあげましょう。

 

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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