ピアノに関するQ&A-練習時と本番時の弾き方の違い
Q:演奏本番の時に、練習してる時と響きなどが違って違和感があるのですが、対策はありますか?
A:(講師:塩川)ピアノは他の楽器と違い、自分の楽器を現場に持ち込めないことが大きなデメリットだという風には言われています。ただし、沢山の演奏の本番経験を積んでくると、ピアノのクセや会場の響き方のクセが瞬時にわかるようになってきます。
ピアノの製造には多くのメーカーが携わっているのはご存知だとは思います。
例えば我々にとって最も身近なメーカーの「YAMAHA」は、いわゆるスタンダードな感触で、型番によって若干の違いはあるもののコントロールのしやすさでいうと優れたピアノであるでしょう。
また、ハイクオリティなピアノで知られる「Steinway & Sons」では、多くの特徴的な操作感を感じることになります。タッチは比較的浅く、ペダルは独自規格なので特有のペダル操作が必要です。慣れてないと「確かに音はきれいだけど弾きにくい」ピアノとなるでしょう。
また、もう一つの要因として会場の音の響きによるところもかなり大きくあります。普段との感覚の差異を左右する要素の一つに「残響音」があり、発音した後にどれだけ音がのこってるかによって、音量やペダルの量を加減しなければなりません。また「音の跳ね返り」具合にもよるところが多く、跳ね返りが少なければ客席と舞台とでは響き方に変化が出るので、演奏後の自分の記憶と聴衆の感想が食い違うというのはよくある話です。
このように、色々な要因によって本番の演奏というのは左右されてしまいますが、なるべく様々の経験を積んでおくと瞬時にそれらを判断し演奏に反映させることができる様になります。
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。