ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-多声音楽の弾き方について

ピアノに関するQ&A-多声音楽の弾き方について

2020.10.30

Q:バッハの平均律など、声部がたくさんあって弾きにくいし暗譜しにくいです。どうすれば安定して演奏できますか。

 

A:(講師:塩川)楽曲分析が必要だということは他の楽曲にも言えることですが、バッハは特にそれが必要です。譜を読んでいる段階では実際の練習と楽譜上での分析の時間の比率は1:1でもよいくらいです。

ポリフォニー音楽なので横の方(対位法)にばかり目が向きがちですが、縦の線(和声)もしっかり把握しましょう。バッハにおいてはその二つの要素が見事に融合しています。主題のメロディーはもちろん、主題の反転、縮小や拡大、加えて副主題や第二主題も発見しましょう。その上で俯瞰して眺めてみて、それぞれの終止形や転調部に注目してみることは、非常に読譜と暗譜に役立ちます。

こう説明すると非常にややこしくてめんどくさい作業に見えますが、一旦分析の方法を覚えてしまえば、まるで旅行先の地図を読むかのごとき楽しみを感じられると思います。

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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