ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-上達段階に応じた練習の仕方

ピアノに関するQ&A-上達段階に応じた練習の仕方

2021.01.07

Q:譜読みを終えてある程度練習をしても小節の間でいちいち止まって次を考えてしまいます。流れるように弾きたいのですが。

 

A:(講師:塩川)とても頻繁に聞くお悩みです。結論から言ってしまうと、止まらないで弾ける速さまで落としてゆっくり練習しましょう。

ゆっくり練習する、と言うは易しですが実行するのは難しいと思います。普通の場合、努力しているからには早めに成果を出したいと考えるのが人の常です。指定のテンポより遅く(一見すると)ダラダラ練習することは、成長している度合いが感じられずモチベーションを下げてしまうでしょう。

しかしながら、練習というのは「これさえやれば絶対にうまくなる」というような、いわゆる「最強の練習法」は存在しません。ネジの種類や大きさに合わせて使うドライバーのタイプを変えるように、練習法は柔軟に対応させなければいけません。

なるべく速いテンポで弾き、小節間で止まって次の準備をしてから弾く、というのも実は一種の練習方法になります。問題なのは、練習方法を一種類しか試していないことです。

上達段階においては最低でも3種類の練習方法を試しましょう。何事もそうですが、同じ方法を永遠と行っても基本的には成長しません。ゆっくりの練習というのはできてない証とは思わず、別のタイプの練習の仕方という認識を持てば、積極的に取り入れることができるかと思います。

 

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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