【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-1「すなおな心」
ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-1
「すなおな心」
[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]
【概要】
合計25曲あるブルグミュラーの作曲した、導入期を終えた学習者のための練習曲のうち一番初めの曲。
ポジションの移動が比較的少なく、まだ指のくぐらせや手の跳躍に慣れてない学習者のための練習曲に最適です。
【対象レベル】
・指番号を理解し、両手それぞれ5本の指を使ってレガートで弾くことができる
・左手で3つ以上の音符の和音を押さえることができる
・調号と臨時記号について正しく理解をしている
【参考演奏動画】
演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)
【練習・指導のポイント】
1〜4小節目:
指番号を正しく守ることに重きを置きましょう。小節内での右手の移動はほぼありませんので、始まりの音を表記の指で鳴らし、他の指は綺麗に並べることで音符読みがそれほど得意ではない奏者でも楽に譜読みが行えます。3小節目の2の指の飛び越えもしっかりと鍵盤を確認しながら弾きましょう。
左手は最初のドレミのI和音から次のⅣ2に行く際、親指をみぎにずらします。残すべき指と移動すべき指をしっかり分けて考えると、和音に不慣れでも楽に記憶することができます。
9〜12小節目:
右手左手ともに一度手の位置どりをすれば4小節間はほぼ指番号のみを見て弾くことができます。音符読みが苦手な学習者でも、初めから両手を使って弾くことができるでしょう。途中左手レドミドの3と2の指の小移動のみ細かく確認しましょう。
14〜16小節目:
指の小移動が比較的多くなります。右手だけの練習をまず行い、しっかりと把握しましょう。2度進行(鍵盤が隣同士)とそうでないもの(跳躍進行)とを分け、移動すべき指と移動してはいけない指をしっかりと確認すると覚えやすいです。
17〜20小節目:
2の後の1の指のくぐらせ、小節をまたぐ時の5または3の指の小移動に注意しましょう。左手は親指で♭ラを弾くことになるので、押さえやすいように鍵盤の奥側に手を置くことを意識してください。
【執筆者】
塩川正和
- パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。 - YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ)
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。