【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-3「牧歌」
ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-3
「牧歌」
[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]
【概要】
ゆっくりな8分の6拍子の田園風作品です。曲全体においての速度は穏やかですが、一部指の鍵盤上での移動を行いながらレガート奏法をする必要があるため、打鍵の基礎的なメソッドのただしさが問われます。
【対象レベル】
・複合拍子の理解と、8分の6の拍子感の認識ができている。
・それぞれの音と指番号に連動した指同士の移動、間隔の開閉の訓練を行なっている。
【参考演奏動画】
演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)
【練習・指導のポイント】
1〜2小節目:
最初のパッセージから指の広がりと縮みが発生します。指番号を疎かにせず、いつも同様のものを使いましょう。
音符の読みが不得意な学習者は、音同士の間隔(隣同士か一つ以上空いてるか等)に着目しながら指の配置の練習を行いましょう。
dolce cantabile(優しく・歌うように)なので、決して一音一音の粒を目立たせすぎず、なだらかな丘のようなダイナミクスで演奏してください。幼児の学習者はなるべく手首の動きに頼らないよう、しっかりと手首を固定して弾くとレガートになりやすいです。
3〜8小節目:
右手主題は一つのポジション内で弾ける箇所が多く、比較的弾きやすいパートとなります。左手も7小節目までは指の配置を変えることなく演奏できるので楽でしょう。装飾音の独立した綺麗な響き、8分の6の拍の取り方、レガートの奏法など、細かなテクニックを鍛える余裕がある部分です。
11〜18小節目:
中間部となるこの部分には幾つかの音楽的要素が含まれています。11〜14小節にかけては同じパッセージが2度に渡り現れるので、強弱によってエコーをつけましょう。15・16小節目と減和音の響きが続き、完全終止をもって主題に帰ってきます。指を運ぶことだけに着目するのではなく、そういった和音の移り変わりを感じ取れるようにしっかりと自分自身の演奏を聴きましょう。
【執筆者】
塩川正和
- パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
- 指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。
- YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ)
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。