【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-22「舟歌」
ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-22「舟歌」
[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]
【概要】
複合拍子に特徴付けられる「舟歌」という形式のジャンルでは、独特なリズム感を感じることが重要です。舟が小波の上で穏やかに揺れている様相を表現しましょう。
【対象レベル】
・8分の6拍子についての基礎的な知識がある。
・細かな指のポジション移動、くぐらせや飛び越えなど熟知している。
・数の多い調号、臨時記号などを瞬時に音符に適応させることができる。
【参考演奏動画】
演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)
【練習・指導のポイント】
1〜12小節目:
舟歌のリズムは若干のクセというものがあり、拍頭(1つ目と4つ目の8部音符)を少し重めにする弾き方を行います。
また、波が不規則であるように、拍頭にかける重さも和声、音域、フレーズなどに応じて臨機応変に調節すると、より舟歌らしい演奏となります。
感覚の領域となるので、よくわからなければ実際にどこか近場の湖でボートに乗って揺れを体感してみると良いインスピレーションとなるでしょう。
12小節目以降:
左手が一貫して規則的な拍打ちとなります。この際決して8分休符を短く取ってはいけません。
また、前述のように拍頭を重めにとりますが、フレーズの山、和声の移り変わりなどで少し揺れの大きさを変える必要があります。特にⅠ – Ⅴ – ⅠとⅠ – Ⅴ – Ⅵ7 (c: Ⅳ7) のコントラストの差は大きいものにすると表現力が増します。
dim7は不安を感じさせる和音なので、やや強い波が舟を揺らす等イメージ力を持って音楽をつくりましょう。
【執筆者】
塩川正和
- パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
- 指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。
- YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ)
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。