【楽曲解説&練習指導方法】ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-12 「別れ」
ブルグミュラー:25の練習曲Op.100-12
「別れ」
[ピアノ学習者に頻繁に用いられる有名曲の簡単な解説を定期配信中。毎週火・金に更新]
【概要】
動きのある五本の指を使った三連符の練習曲です。それぞれの指の独立性を要し、ある程度高度なテクニックを求められます。ただの単調なメカニックの練習と思わず、テンポ・ルバートを取り入れるなどして豊かな表現で演奏しましょう。
【対象レベル】
・5本の指の独立が完成されており、速いスピードで指を動かすことができる。
・ダイナミクスやアゴーギグなどの音楽的表現の実践方法についてある程度理解している。
【参考演奏動画】
演奏者:塩川正和(当ピアノ教室主任講師)
【練習・指導のポイント】
1〜4小節目:
序奏の部分となります。メロディーのフレージングは、記載のスラーの通りに行います。アクセントやスフォルツアンド、ディミニュエンドとラレンタンドを一つも見落としがないように意識して弾きましょう。
5〜12小節目:
右手の三連符が連綿と続くメロディーです。4-5-4-3-4-3の指遣いはややコントロールが難しいので、転ばないように注意しましょう。音価がきちんと揃っているかどうか、拍毎に確認していく作業が有効です。
慣れてきたらなるべくメトロノミックになりすぎず、フレーズ内でのテンポルバートを意識できると音楽的表現が増します。アクセントの箇所をやや重めに弾くことで、安定感が増すでしょう。
17〜24小節目:
三連符は左手に移動し、右手は単音の旋律となります。レガートは単調にならないように、フレーズとダイナミクスを意識しながら弾くことに注意を向けましょう。
【執筆者】
塩川正和
- パリ・エコールノルマル音楽院卒業。ブルーノ・リグット氏に指事。国内外でのコンクールに多数入賞。印象派〜近現代作品を主に得意とする。ダリ・インスティテュートにて主任ピアノ講師・ヴァイオリン講師を務める。
- 指導においては導入から上級・専門と幅広く、個々の性格を見極め、それに応じた指導のアプローチを大切にしている。国内の各種コンクールの審査も務めている。
- YouTubeにて演奏動画を配信中(チャンネルページ)
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。