ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-アーティキュレーションのコツについて
ピアノに関するQ&A-アーティキュレーションのコツについて
2020.12.17
Q:音階などの速く指を動かす箇所を弾こうとすると、腕がつったような感じになってグチャグチャに聞こえてしまいます。
A:速いパッセージはとにかく速く指を持っていけばよい、と単純に考えていると一向に鮮やかな演奏にはなり得ません。
まず第一に考えるべきは手のフォームが整っているか。例えば右の方向に手が行くような音階(上行形)を弾く際、なるべく手の動きが鍵盤に平行して直線状に動いていくことが望ましいです。これが上から見た時に奥に行ったり手前に行ったりと、ジグザグのような動きをしてしまっては速く弾く際それだけ無駄な動きが伴い支障をきたします。人間の指はそれぞれ長さがバラバラですし、鍵盤も黒鍵と白鍵で段差があったりと色々一定ではありません。なるべく安定するような手のフォームをご自身で探すことがカギとなります。
第二はリズムの流れです。先述した音階の上行形で、そのフレーズが比較的長めの場合では大抵は拍をまたがって音符が連綿とつながっていると思います。それをまるで息を止めて一気に弾き切ろうとするのはあまり得策ではありません。例えば4分の4の拍子でしたら4分音符の拍ごとに細かい音符を分けて纏めて考えると、頭の中でも音符がきれいに整理整頓されます。
第三は鍵盤から指を離す動作です。次の音を鳴らそうと思っても、その前の指が自由になってないと次の音は出せません。残念ながら(?)人間は片手5本ずつしか指をもっていないので、指は必ず使いまわす必要があります。また、直前の音が残ってしまっていては次の音とぶつかって濁り、とても不明瞭な響きとなってしまいます。