ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-多声音楽について(2)

ピアノに関するQ&A-多声音楽について(2)

2020.12.29

Q:フーガなど三声の曲(メロディーが同時に3つ存在する楽曲)の譜読みも演奏も苦手です。

 

A:(講師:塩川)ホモフォニ―(メロディーと伴奏)の曲を演奏する時の考え方とは異なる部分が多いので、特に譜読みに関しては違うアプローチを考えた方がよいでしょう。

ピアノは単一の楽器でポリフォニー音楽が演奏できる数少ない楽器の一つです。メロディーが一度に沢山でてくるので、まず考慮しなくてはならないのが技術的な側面です。
具体的にいうと「指番号」がとにかく重要となります。例えば右手親指である低い音を押さえながら高い方でメロディーを弾くパターンにおいて、もし薬指や小指でその低い音を弾いてしまっては、高い音の鍵盤は右側にあるので右手においては最早指が足りなくなります。かといって低い音の持続音を無視して音を切ってしまっては、それはポリフォニーとは呼べなくなります。
楽譜に書かれている音価をきちんと守れるよう、指の配置には最大限工夫を凝らしましょう。曲をこなすに従い経験値がたまってくると、ある程度セオリーというものがありますので、直観的に正しい指遣いで弾けるようになるでしょう。

また、楽曲分析も非常に重要です。ポリフォニーというのは古典の時代によく使われたので、やはり形式がしっかりと定まっています。主題がまず出現し、その主題が曲を通してそれぞれの声部に移りながら、転調や反転、拡大縮小など変化しつつ曲が成り立っています。その主題を曲の中で見つける作業ということを積極的に行いましょう。流れ作業的に音符を見つけて鍵盤をたたくという行為をせず、一歩引いて曲全体を俯瞰するように見渡せれば、様々な共通点を見つけることができ、面倒くさいと仰る譜読みの作業もかなりシンプルになるでしょう

 

 

 



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