ピアノに関するQ&A-速く弾くパッセージについて
Q:練習してる最中にテンポを上げようと思ってもなかなかあがりません。速く弾こうと意識することが大事でしょうか?
A:(講師:塩川)人間の意識中の反応可能速度には限界がありますので、それを超えるスピードと音数の曲であれば反復練習を経てしっかりと脳に刻み込み、脊髄反射的に、つまり何も考えずとも手が勝手に動くようになるまで訓練する必要があります。
ゆっくりした練習のみでは決してある一定以上の速度では弾けません。反応速度という理由に加え、ゆっくり弾く時と速く弾く時では筋肉の使い方や使う箇所が若干変わってくるからです。
速く弾く際、ミスを気にしすぎると速く弾く勇気もなくなってしまうので、ある程度ミスを許容しつつ速く弾く練習、ゆっくり一つずつの音を確認しながらの練習を交互にやっていくとよいでしょう。
細かな音価の音はゆっくり練習することは当たり前として、リトミック的な観点から曲を分析することも実際の演奏に大きく役立ちます。
16分、32分音符と速い音符は様々ありますが、大抵の場合は必ず小節のなかで拍子と音符数で辻褄があっていなければいけません。
もし弾いている楽曲のアナライズがまだでしたら、とりあえずピアノの蓋を閉じて鉛筆を持ちましょう。まずは拍子を把握し、細かな音価の音列上に拍子数に従って(4分の4なら四分音符の拍頭に相当する音符に)印をつけてみてください。それが終わったらピアノの蓋を開け、その印の間隔が弾いていて一定に感じるようになるまで練習しましょう。その印部分にアクセントをつけて練習することも、速いパッセージをきれいに弾くためには非常に効果的です。
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PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。