ピアノに関するQ&A-演奏本番前の練習について
Q:本番に向けて練習する時、なにか普段と違う練習をした方がいいですか?
A:(講師:塩川)これはほとんど私の経験則となります。
例えばとある舞台で一曲ピアノソロで演奏するという機会に際し、既にある程度仕上がっているという前提で言うと大体本番から逆算して2週間くらい前から当日に向けて準備していくとよいでしょう。準備といっても、何も小学校の時につくった夏休みのスケジュール表のようなものをつくれと言っているわけではありません。まずは毎日カレンダーを見て「あと〇日だな」と意識することから行いましょう。
なぜ2週間かというと、少し非科学的な考えとなりますが、バイオリズムを意識すると一般的には凡そのサイクルで好調不調が一巡すると経験により感じたからです。人の精神状態は、どんなに健康な人だとしてもある程度の浮き沈みがあります。もし沈んでる、ネガティブになってる時に本番が重なってしまっては良い演奏をすることは難しいでしょう。興奮しすぎず落ち込まず、体の状態に均衡がとれている時に本番が重なればその人にとっての最良の演奏ができます。そのサイクルを調整するための余裕をもった期間、と思えば納得はいくかと思います。
具体的な練習方法については、とにもかくにも本番を意識した練習が望ましいでしょう。カレンダーで日を追っている時点で、脳裏では本番のことをイメージすることはできているはずです。さらにそれをリアルなものにするために、カメラで自身の演奏を録画してみる、誰か親しい人に聴いてもらうなど、積極的に行ってみてください。曲全体を通す練習ばかりでなく、わざと区切って途中から練習することも記憶力を強化する上で望ましいです。細かいパートに分けて、それを曲の終わりの方から暗譜で弾いていくなども一つのコツとなります。
PROFILE

- 塩川 正和
- ダリ・ピアノ教室講師アドバンスコース特別講師
福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。
フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。
ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。
現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。