ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-演奏する際の考え方

ピアノに関するQ&A-演奏する際の考え方

2020.10.14

Q:演奏会の時はミスしないことより音楽性を大切にすることが重要ですか?

 

A:(講師:塩川)これはしばしば議論される話題なのですが、私としてはその二つを切り離すこと自体が根本的に間違っていると感じるので、その議論は無意味だと思っています。

そもそも完璧でミスのない演奏は音楽性に乏しい、ミスはあるけれど音楽性は素晴らしい、というような両極端な思考はとても芸術的観点とは言えません。

例えば大切なメロディーを演奏する時に一音でもミスをしてしまったら、いくらそこまで感性豊かに演奏してても聴く側としてはその瞬間興ざめしてしまいます。ある程度のミスはヒューマンエラーで仕方ないとしても、できる限りミスのないように丁寧に仕上げることが、音楽性を最大限に発揮させるためにも重要です。

また、ある曲を美しく演奏する際には細かな技術力も必要となります。絹のような滑らかなメロディーを作ろうとしたら、ピアノでは一音一音ビーズをつまむような繊細な指のコントロールが必要となります。それこそ指を素早く動かすことと同じぐらいの技術力を必要とします。

テクニックを魅せるのも音楽性の内であり、音楽性の表現もテクニックの内です。

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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