ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-日々の基礎練習について

ピアノに関するQ&A-日々の基礎練習について

2020.12.16

Q:上達するために毎日欠かしてはいけない基礎練習などはありますか?

 

A:(講師:塩川)例えばスポーツ選手は必ずといっていいほど試合前にアップを行っているところを目にします。ピアノも場合によって筋肉を激しく使う動作を伴うため、一見するとスポーツと同様日々のベースとなる訓練は行うべきだというのは納得できる主張です。

ただ、私の意見としてはスポーツのように必ず行うべきルーチンというものを無理に考慮しなくてよいと思っています。音楽を伴う身体の動作には、想像以上に音楽そのものに左右される(感情やリズムのノリなどの抽象的なもの)ことが多いです。つまりは、スポーツで最重要視される筋力、瞬発力、動体視力など基礎体力を完成させたとしても、それが直接的にピアノ演奏に対して影響を及ぼすかというと疑問です。

もちろんスケール練習や機械的な練習はピアノの基礎力としても非常に重要です。しかしながら、それ(基礎力をつけること)は一定量鍛えた後に感覚を掴むという行為へと重きをシフトすることになります。一旦感覚を掴んでしまえば覚えた音符は忘れたとしても、エッセンシャルな部分は記憶から消えることはありません。芸術全般に言えることでしょうが、ピアノに向かう際は物質的な事柄だけに没頭することなく、なるべくあいまいなものに対しても興味を抱いてみると上達のカギとなることもあるでしょう。

ダリ・ピアノ教室(浦和駅前教室)

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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