ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-効率の良い譜読み方法

ピアノに関するQ&A-効率の良い譜読み方法

2020.10.26

Q:譜読みが苦手で、毎回苦痛です。どうすれば速く読めるようになりますか?

 

A:(講師:塩川)もし何も考えずに逐一音符とにらめっこの状態で譜を読んでいるのならば、まずはそれを止めましょう。

どのようなジャンルの音楽でも、必ずと言っていいほどモチーフ(主題)の反復が用いられます。一旦俯瞰をして曲全体を眺めてみてください。

そのうえで、似ている部分=新しく覚えなくともよい箇所を見つけることによって、譜読みの負担を大幅に減らすことができます。つまり、無理矢理頭に音を詰め込もうとせず、楽曲の分析をおこなって論理的に理解しましょう、というのが一つ目のコツです。

二つ目に重要になるのは指番号です。

よくレッスン現場にて、音は一応あっているが毎回使う指が違っているということがあります。これは一見あまり問題にならなそうに見えて、いつまで経っても曲を覚えきれない原因の一つとなります。指番号は前後の音型を鑑みて出来る限り効率よく振ったあとは、なるべく10回中10回とも同じ指で弾くよう心がけましょう。

三つ目は、譜読み中の音の間違い度合です。

人間ですから、難しい曲など音符が大量にある楽譜を読むときは、初回は間違って音符を弾いてしまうことは仕方のないことだとは思います。そうは言っても、間違いながら弾いてしまうと、正しいものと間違ったものをごちゃごちゃに混ぜ合わせて覚えてしまうリスクがあります。一旦悪いクセがつくと、後から直すのは結構な労力が必要です。なるべく一回目の読譜から集中して一音一音正しく拾いましょう。確かに時間も疲労も加わりますが、長い目で見ると一番短い時間で譜読みが完了します。

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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