ピアニストからの手紙トップ ピアノに関するQ&A-アーティキュレーションのコツについて

ピアノに関するQ&A-アーティキュレーションのコツについて

2020.12.17

Q:音階などの速く指を動かす箇所を弾こうとすると、腕がつったような感じになってグチャグチャに聞こえてしまいます。

 

A:(講師:塩川)速いパッセージはとにかく速く指を持っていけばよい、と単純に考えていると一向に鮮やかな演奏にはなり得ません。

まず第一に考えるべきは手のフォームが整っているか。例えば右の方向に手が行くような音階(上行形)を弾く際、なるべく手の動きが鍵盤に平行して直線状に動いていくことが望ましいです。これが上から見た時に奥に行ったり手前に行ったりと、ジグザグのような動きをしてしまっては速く弾く際それだけ無駄な動きが伴い支障をきたします。人間の指はそれぞれ長さがバラバラですし、鍵盤も黒鍵と白鍵で段差があったりと色々一定ではありません。なるべく安定するような手のフォームをご自身で探すことがカギとなります。

第二はリズムの流れです。先述した音階の上行形で、そのフレーズが比較的長めの場合では大抵は拍をまたがって音符が連綿とつながっていると思います。それをまるで息を止めて一気に弾き切ろうとするのはあまり得策ではありません。例えば4分の4の拍子でしたら4分音符の拍ごとに細かい音符を分けて纏めて考えると、頭の中でも音符がきれいに整理整頓されます。

第三は鍵盤から指を離す動作です。次の音を鳴らそうと思っても、その前の指が自由になってないと次の音は出せません。残念ながら(?)人間は片手5本ずつしか指をもっていないので、指は必ず使いまわす必要があります。また、直前の音が残ってしまっていては次の音とぶつかって濁り、とても不明瞭な響きとなってしまいます。

 

 

 



PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

PAGE TOP