ピアニストからの手紙トップ ゲルハルト・オピッツ

ゲルハルト・オピッツ

2022.12.27
今回はいつものような質問にお答えする形ではなく、
先週いったピアノのソロリサイタルについて書かせていただきます!

先週日曜日に三鷹の武蔵野市文化会館で行われた
ゲルハルト・オピッツ氏のリサイタルに行ってきました。
ゲルハルト・オピッツ氏の演奏を聴くのは2回目だったのですが、
とても勉強になるコンサートでぜひピアノ教室に通っている生徒さんにおすすめしたいな、
と思いました。

ゲルハルト・オピッツ氏はドイツ出身のピアニストで、
ドイツ正統派ピアニストとして日本でも大変人気のあるピアニストです。
また親日家でも有名で、年末年始を日本で過ごされることも多いそうです。

今回はベートーヴェンの4大ソナタということで悲愴ソナタ、月光、テンペスト、
熱情とこれでもかというくらい濃いベートーヴェンのプログラムでした。

感想を一言でいうととにかく涙が出るほど素晴らしい演奏で、贅沢な空間でした。
指さばきはもちろんのことですが、
体の使い方やペダリングについても全てにおいて無駄が一つとしてなく、
ものすごく自然体なのに聞いたことがないほど新鮮で美しい音色でした。
耳馴染みの深い曲たちですし、私も学生時代に4曲とも全楽章弾いたことがありますが、
新たな発見を見出すことができました。

特に体の動きが本当に最小限、一切の無駄な動きがないことには驚きます。
オピッツ氏の体が大きいおかげもあるのでしょうが、
ほとんど力を入れているように見えないのにホールの一番うしろまでしっかり響いてきました。
体全体で表現する演奏家も多いですし、そういった表現方法も好きなのですが、
とにかくすべてを音で表現する、というオピッツ氏の考えが表れているのかなと想像しました。
また、ここで内声を強調するのか、
という驚きがあったり冒頭にガツンとしたフォルテを出すのかと思いきや
あえて控えめに入ってきて、後半でここだ!と言わんばかりのフォルテを出してきたりと、
なんだか遊園地にいるような気分で演奏中ワクワクしっぱなしでした。

余談ですが私はいつもスマートウォッチで心拍数を記録しているのですが、
オピッツ氏演奏中の心拍数は座っているにも関わらず90を超えていて自分でも笑ってしまいました。

そしてアンコールはブラームスのOpus116-4、間奏曲ホ長調でした。
興奮した観客の熱を冷ますかのような演奏に観客がうっとりした後は、
鳴り止まない拍手の中で嬉しそうにニコニコしながらお辞儀をされているのが
とても印象深かったです。

きっと来年も来てくださることを信じて、一年間また頑張ろうと思える素晴らしいコンサートでした。
CDもちゃっかり購入し、自宅でよく聞いています。
皆様もぜひ、ゲルハルト・オピッツ氏の名前を見かけたら足を運んでみてください。

北戸田駅前教室

ダリ・ピアノ教室講師 草間 友来(国立音楽大学卒)


PROFILE

ダリ・インスティテュート「ピアノ教室」
塩川 正和
ダリ・ピアノ教室講師
アドバンスコース特別講師

福岡第一高等学校音楽科卒業。在学中に福岡県高等学校音楽文化連盟コンクールにてグランプリ、ショパンコンクール in Asia 協奏曲C部門九州大会金賞、北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部において最年少17歳で大賞及び県知事賞を受賞するなど、コンクールにて研鑽を積む。
また、ボルドーにて開かれたユーロ・ニッポンミュージックフェスティバルに招待演奏者として参加し、ソロ曲及びシュピーゲル弦楽四重奏団とシューマン作曲のピアノ五重奏曲を演奏し好評を博す。

フランスのパリ・エコールノルマル音楽院にフジ・サンケイスカラシップの奨学金を受け授業料全額免除で入学。
20歳にて同校の高等教育課程ディプロムを、翌年には高等演奏課程ディプロムを取得。
エクソンプロバンス・ピアノコンクールにて3位受賞、フラム国際コンクール及びフォーレ国際コンクールにてファイナリスト。

ラヴェル等のフランス印象派の作曲家作品を中心としたリサイタルやアルベニス作曲の組曲「イベリア」の全曲演奏を行うなどのほか、デュオや伴奏活動も積極的に行っている。
北九州芸術祭、長江杯国際コン クール等にて優秀ピアノ伴奏者賞を受賞。

現在は東京を中心に演奏活動を行い、ダリ・インスティテュート(ダリ・ピアノ教室)での指導のほか、日本各地で後進の指導にあたっている。
これまでにピアノを黄海千恵子、故宝木多加志、ブルーノ・リグット、イヴ・アンリ氏に、室内楽をクロード・ルローン氏に師事。

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